「今月の目標達成のためなら、少しくらい広告表現を盛ってもバレないだろう」
「下請けに無理な値引きをさせれば利益が出る」。
営業現場のこの「会社想いの暴走」が、数億円の課徴金(景表法)や、社名公表による信用の失墜(下請法)という致命傷を会社に負わせます。
法務部門を「スピードを落とす邪魔者」と見なす現場は、巧みにチェックをすり抜けて時限爆弾を仕掛けるのです。
この暴走を防ぐ超実務的な防衛策は、現場のモラルに頼ることをやめ、「管理部門責任者のハンコがないと物理的に前へ進めないシステム(稟議フロー)」を構築することです。
①【広告・発注のシステムロック】:新しい広告の出稿や、新規外注先への発注・支払い手続きは、法務またはコンプラ担当の「システム上の承認」がなければ、絶対に実行できない(経理が決済しない)仕組みにします。
②【現場向けの「安全圏」リスト作成】:法務はただダメ出しするのではなく、「この表現なら即OK」「この発注書フォーマットなら無審査で通過」というホワイトリスト(ガイドライン)を現場に渡し、営業スピードを落とさせません。
③【トップの冷徹な宣言】:社長自らが「コンプラ違反で稼いだ売上は、会社にとって1円の価値もない」と全社に宣言し、違反者は売上トップのエースであっても容赦なく処分する姿勢を見せます。
法務とはただの「ブレーキ」ではなく、会社が崖から転落しないために設置する強固な「ガードレール」なのです。
営業の暴走を物理的に止める!法務監視体制の構築「5つのステップ」
| 構築のステップ | 現場で起きる反発・抜け穴(法務体制が崩壊する原因) | 現場の突破口と防衛策 |
| ① 決裁フローの現状把握と破壊 | 「昔からこの広告は営業部長のハンコだけで出している」「下請けの単価は現場の裁量だ」と、**法務の目が届かない聖域(ブラックボックス)**が存在する。 | 【「慣習」の強制リセット】 社長名義で「本日以降、法務(または管理部門)の事前審査を通していない契約・広告・発注はすべて無効とする」と宣言し、過去の属人的な決裁ルートを一度完全に破壊します。 |
| ② 「経理」と連動した絶対的ストッパーの設置 | 「法務の審査に時間がかかるから」と、現場が勝手に広告を配信したり、業者に発注したりする(事後報告の横行)。 | 【法務承認なき支払いの「凍結」】 法務単体では現場を止められません。「法務の承認印(システム上のログ)がない請求書や発注書は、経理が絶対に1円も支払わない(システムが弾く)」という連動した仕組みを作ります。 |
| ③ ガイドライン(ホワイトリスト)の策定 | 「毎回法務に確認するのは面倒だ」「法務の回答が遅くて商機を逃す」と、現場から猛烈なクレームが来る。 | 【「これなら即OK」のテンプレ化】 法務はダメ出しするだけでなく、「この広告表現なら無審査でOK」「この発注書フォーマットなら即日通過」という**ホワイトリスト(安全圏)**を現場に提供し、自ら審査のボトルネックを解消します。 |
| ④ 事後監査(抜き打ちチェック)の実施 | 法務の審査を通した後に、現場が勝手に広告の文言を過激に書き換えたり、下請けに無理な値引きを後から強要したりする。 | 【モニタリングと一発レッドカード】 審査して終わりではありません。月に一度、実際に配信されている広告や発注履歴を抜き打ちでチェックし、承認内容からの「勝手な改ざん」が発覚した場合は、直ちに懲戒処分の対象とします。 |
| ⑤ 評価制度への組み込み(トップの覚悟) | 「彼は全社トップの営業成績だから」と、エース社員のコンプラ違反を社長や役員が黙認してしまう。 | 【「違反売上=評価ゼロ」の徹底】 ここが最大の分水嶺です。社長自らが「景表法や下請法に違反して稼いだ売上は、会社にとって1円の価値もなく、むしろ害悪である」と宣言し、評価をゼロにする。この冷徹な覚悟がなければ、どんな体制も機能しません。 |


