「ついでにここも修正してよ」「せっかくだからコレもお願いできる?」。
創業期は顧客に嫌われたくない一心で、つい「サービスしておきます!」と笑顔で引き受けてしまいがちです。
しかし、現場の弁護士から言わせれば、この「スコープクリープ(業務範囲の肥大化)」は会社を確実に死に至らしめる猛毒です。
小さな「ついで」が積み重なると、あっという間にリソースが枯渇し、本来得られるはずだった利益が完全に吹き飛びます。タダ働きは美徳ではありません。
現場の絶対的な防衛策は、契約時の「境界線の明文化」に尽きます。
契約書や別紙の仕様書に「何をやるか(対象業務)」だけでなく、「何をやらないか(対象外業務)」を箇条書きで明確に記載してください。
そして、「本契約に記載のない業務は、別途見積もりの上、追加契約とする」という一文を最大の盾とします。
実際に「ついで」を頼まれた時の超実務的な返し方は、「NO」と突っぱねることではありません。「承知いたしました!そちらは別要件となりますので、〇〇円で追加のお見積りを出させていただきますね。進めてよろしいでしょうか?」と、明るく「別料金の土俵」に乗せるのです。
プロとして線引きを明確にすることこそが、健全で対等な取引関係を築く第一歩です。
業務範囲の肥大化(タダ働き)を防ぐ3つの防衛線
| フェーズ | 防衛策のテーマ | 現場で使える切り替えし術 | なぜこれが効くのか |
| 第1の防衛線 (見積・提案時) | 「やらないこと」の明文化 (アンチスコープの定義) | 見積書や提案書に、対象業務だけでなく**【対象外業務】(例:〇〇のデータ入力は含まない、本番環境への実装は別料金、等)を箇条書きで必ず明記する。** | 顧客の「プロなんだから、言わなくてもこれくらいやってくれるでしょ」という勝手な期待値を、入口で完全に叩き潰せます。 |
| 第2の防衛線 (契約締結時) | 追加請求の「根拠」を仕込む (契約書への特約追加) | 契約書に**「本契約(仕様書)に明記されていない業務が発生した場合は、別途協議の上、追加費用を見積もるものとする」**という一文を絶対に入れる。 (※制作物の場合は「無償修正は〇回まで」も必須) | 顧客がゴネた際に、「契約書第〇条に基づきまして〜」と、感情論ではなく「ビジネスのルール」として冷静に突き返すための最強の盾になります。 |
| 第3の防衛線 (実務・進行中) | 「ついで」を別料金に変換するトーク術 | 「ついでにここもお願い!」と言われたら、絶対にその場で引き受けず、**「承知いたしました!そちらは別要件となりますので、〇〇円で追加のお見積りをお出ししますね。進めてよろしいでしょうか?」**と明るく即答する。 | 「NO(できません)」と拒絶するのではなく、「YES(できますよ、別料金ですが)」と返すことで、角を立てずにタダ働きを回避できます。大半の顧客は「お金がかかるならいいや」と引き下がります。 |


