業績が伸びて人手が足りず、「とりあえず採用」で急場を凌ぐ。
しかしフタを開ければ、スキルの圧倒的不足、遅刻の常習、周囲とのトラブルメーカーだった…。こうしたミスマッチ社員を抱え込んだ時、経営者は「試用期間中だし、ウチには合わないから明日から来なくていいよ」とクビを切りたくなります。
しかし、現場から冷酷な現実をお伝えします。
日本の労働法では、「能力不足」や「カルチャーアンマッチ」程度で一方的に解雇(クビ)にすることは実質不可能です。 試用期間であっても扱いは同じです。
証拠もないまま解雇に踏み切り、不当解雇で労働審判を起こされれば、100~300万円程度の解決金を支払う悲惨な敗北が待っています。(解雇が無効と判断されるので働いていない期間の給与も支払う義務が生じます)
この絶望的な状況を打破する超実務的な鉄則は、解雇ではなくや「自主退職」や「退職勧奨による合意退職」へ持ち込むことです。
まずは「指導したのに改善されなかった」という客観的な記録(メールや面談の議事録)を日々積み上げます。その動かぬ事実をベースに面談を設定し、「このままウチにいてもお互いのためにならない。〇ヶ月分の給与(解決金)を特別に上乗せするから、自発的に次の道を探さないか」と交渉し、「退職届」を出させるのです。
採用の失敗は、最終的に金銭と膨大な労力で解決するしかありません。「とりあえず採用」のツケは、会社の屋台骨を揺るがすほど高くつきます。
「退職勧奨(合意退職)」の4ステップ
| ステップ | 経営者の具体的な行動 | 現場の「超実務的」ポイントと絶対NG |
| ① 証拠の蓄積 (平時の準備) | 遅刻、ミス、協調性の欠如などの問題行動と、それに対する「注意・指導の履歴」を記録する。 | 口頭での注意は裁判で証拠になりません。必ず「メール」や「チャット」、または「指導記録書」として客観的な文字で残してください。 |
| ② 改善機会の付与 (面談の実施) | 面談を実施し、現在の課題を明確に伝えた上で、「1ヶ月」などの期限と具体的な改善目標を設定する。 | 「会社は十分に指導を尽くした」という実績作りです。この段階でいきなり「辞めてほしい」と匂わせるのは絶対NGです。 |
| ③ 退職勧奨の切り出し (交渉フェーズ) | 期限後も改善が見られない場合、「ウチの環境は合っていないのではないか」と提案し、退職条件(解決金など)を提示する。 | これは解雇(命令)ではなく**「交渉」**です。給与の1〜3ヶ月分を解決金として上乗せし、自発的な退職を促すのが実務上の最も安上がりな鉄則です。「辞めろ」と強要するとパワハラになります。 |
| ④ 書面の取得 (完全決着) | 本人が納得したら、その場で(または数日内に)必ず本人の自筆でサインと捺印をもらう。(後に強要されたといわれないために要録音。) | 単なる「退職届」よりも、**「会社と労働者の間に、これ以上の債権債務がないこと(清算条項)」**を明記した「合意退職書」を取り交わすのが最強の防衛策です。 |


