「昔はウチも下請けで苦労したから、フリーランスや外注先とは上手くやっているよ」。
そう笑う経営者ほど危ないのが「下請法」の罠です。事業が成長し、自社の資本金が1,000万円を超えた瞬間、法律は御社を「保護される弱者」から「厳しく監視される強者(親事業者)」へと切り替えます。
現場の担当者が良かれと思って、あるいは悪気なくやっている行為が、実は一発アウトの違法行為になります。
例えば、金額を決めずにチャットで「とりあえず作業を進めておいて」と依頼する(書面交付義務違反)。
納品後に「ちょっとイメージと違うから無料で作り直して」と安易にリテイクを要求する(不当なやり直し・受領拒否)。
「今月は会社の資金繰りが厳しいから、支払いを来月末に回して」と遅らせる(支払遅延)。
これらはすべて下請法の重大な違反です。
下請法の真の恐ろしさは、公正取引委員会の調査が入って「勧告」を受けると、違反事実と「御社の社名」が全国ニュースで容赦なく公表されることです。
ブラック企業としての烙印を押され、採用活動は完全にストップし、大手取引先からはコンプラ違反として口座を閉じられます。
防衛策は、現場への徹底的なルール化です。
「発注前に必ず金額と納期を書面(メール・システム可)で残す」「納品から60日以内に1円も値引かずに全額払う」。
この鉄則を破った担当者は社内処分するほど厳格に運用してください。「知らなかった」では済まされないのが、発注者の重い責任なのです。
「よりそいBizリーガル」です。
「ウチは外注先と仲が良いから大丈夫」「ちょっと無理を言っても融通を利かせてくれる」。
経営者や現場担当者のその甘い認識こそが、下請法違反(公正取引委員会からの社名公表)という地雷を踏み抜く最大の原因です。
現場の担当者が日常的に、悪気なく口にしてしまっている「下請法アウト(違法)」なセリフと、会社を守るための超実務的な対応策を表にまとめました。
【超実務版】気づかず加害者に!現場の「下請法アウト」な言動と対応策
| 担当者が悪気なく言う「NGセリフ」 | 下請法上の「違反名」と恐ろしい実態 | 対応策とルール |
| ①「とりあえず急ぎで作業進めておいて!金額と納期は後で決めるから」 | 【書面交付義務違反】 下請法では、発注時に「金額・納期・支払日」などを記載した書面(メールやチャット等でも可)を交付しないだけで一発アウトです。「口約束」は違法行為です。 | 【発注書(データ可)の事前交付の徹底】 「発注書(または発注メール)を出さずに作業を着手させた担当者は社内処分する」という厳格なルールを敷いてください。 |
| ②「なんかイメージと違うから、無料でやり直してよ(受け取れないよ)」 | 【受領拒否・不当なやり直し】 発注側の「気が変わった」「仕様を曖昧にしていた」という理由で受け取りを拒否したり、無償リテイクを強要したりするのは違法です。 | 【仕様の明確化と追加費用の支払い】 下請けの明らかなミス(瑕疵)でない限り、仕様変更や追加の要望には「必ず追加費用を払う」という当たり前のビジネスルールを現場に徹底させます。 |
| ③「今月ちょっと資金繰り厳しいから、支払いを来月末に延ばしてもらえる?」 | 【下請代金の支払遅延】 下請けからの合意があっても**「品物を受け取った日から60日以内」**に払わなければ違法です。「検収が終わってから60日」という会社独自のルールも無効(違法)です。 | 【納品後60日ルールの死守】 経理部門に対して「納品日」を基準に支払いスケジュールを組ませてください。資金繰りのしわ寄せを外注先に押し付けるのは犯罪行為です。 |
| ④「事前の約束はないけど、振込手数料(数百円)はそっち負担で引いて振り込むね」 | 【下請代金の減額(不当な減額)】 契約書や発注書で「振込手数料は下請け負担」と明記していない限り、発注者が勝手に手数料を差し引いて振り込むのは、いくら少額でも明確な違法行為です。 | 【手数料は「発注者負担」が原則】 数百円をケチって公取委に踏み込まれるのは愚の骨頂です。契約で定めていないなら、振込手数料は自社で負担して満額振り込んでください。 |
| ⑤「競合の〇〇社はもっと安いよ。ウチの仕事欲しいならもっと安くして」 | 【買いたたき】 十分な協議を行わず、通常支払われる対価に比べて著しく低い額を一方的に押し付ける行為です。相見積もりを盾にした強引な値引きはこれに該当します。 | 【単価決定のプロセスを残す】 コストダウンの交渉自体は自由ですが、「一方的に通告した」のではなく、「双方が協議し、納得して合意した」という経緯をメール等の記録に残すことが重要です。 |


