【社内格差と不利益変更】「稼ぐ既存」vs「赤字の新規」の待遇トラブルと評価の再構築

「新規事業の立ち上げには優秀な外部人材が必要だから、特例で高給を出そう」。

この場当たり的な採用が、会社の屋台骨である既存事業部のモチベーションを粉砕し、最悪の場合はエース級の集団離脱や労働審判を引き起こします。

しかし、不満が出たからといって、慌てて新規事業部の給料を下げたり、既存の給与テーブルに強引に統合して一部の社員の給与をカットしたりするのは、法律上「労働条件の不利益変更」にあたり、本人の同意なしでは原則無効(違法)となります。

この泥沼の社内格差を適法に解消する超実務的なメスの入れ方は以下の2点です。

①【別法人化(スピンオフ)による完全分離】:新規事業を別会社として切り出し、給与テーブルも評価軸も物理的に別物にします。「同じ会社の社員」という比較対象を消し去るのが、法的なトラブルを避ける最も確実な実務です。

【ジョブ型評価への移行と「調整給」による軟着陸】:社内で解決する場合、年次ではなく「ミッション(役割)の難易度と市場価値」で報酬を決める制度へ全面改修します。その際、新制度への移行で給与が下がる社員には、数年かけて徐々に減額する「調整給(激変緩和措置)」を必ず設け、不利益変更の違法リスクを回避しながら軟着陸させます。

「稼ぐ部隊」の不満放置は会社の致命傷です。感情論に逃げず、制度改修という法的なメスで早急に外科手術を行ってください。

会社崩壊の序曲!既存事業部の不満を爆発させる経営者のNG行動

経営者の行動(新規事業への肩入れ)既存事業部から見た「真実」と感情予測されるリスク
① 新規事業部への
「特例の給与テーブル」
「赤字垂れ流しの新参者が、泥臭く稼いでいる俺たちより高給なのは納得できない」【エース社員の離脱と労働審判】
「同一労働同一賃金」の観点から説明がつかない格差は、士気を下げるだけでなく、将来的な「不利益変更」の問題や労働審判の火種になります。
② 既存の「人・モノ・金」を
無理やり引き抜く
「ただでさえ人手不足なのに、現場を知らない社長が優秀な人間を勝手に持っていく」【既存事業の業績悪化と内部分裂】
既存事業のPDCAが麻痺し、全社のキャッシュフローが急速に悪化します。残された社員への負担増が「安全配慮義務違反(過労)」を招く恐れもあります。
③ 全体会議で
「新規事業」ばかり賞賛する
「俺たちの仕事は『古い、守り』。新規は『新しい、攻め』。社長はもう俺たちを見ていない」【組織の心理的安全性と協力体制の喪失】
既存事業部が新規事業への協力を拒む(非協力・妨害)ようになり、全社シナジーが完全に消滅します。社内政治が激化し、コンプライアンス意識も低下します。
④ 新規事業の「失敗」への
責任追及が甘い
「俺たちが1円の経費を削っている横で、あいつらは数千万円ドブに捨ててもヘラヘラしている」【ガバナンスの崩壊と不正の温床】
「新規だから」という理由で管理を甘くすると、新規事業部内での放漫経営や不正支出、さらには既存社員による「不正な経費請求」等のモラルハザードを誘発します。