「業界全体が厳しいんだから、お互い様だろ。協力してくれ」。
この身勝手な理屈で、自社の赤字のしわ寄せを立場の弱い外注先に押し付ける行為。これは経営努力ではなく、法律(下請法)が最も厳しく禁じる「買いたたき」や「下請代金の減額」という違法行為(いわゆる下請けいじめ)です。
下請法は「相手も書面にサインして合意している」という経営者の言い訳を一切認めません。発注後に「今回は予算がないから」と1円でも代金を減らせば一発アウト。
さらに恐ろしいのは、公正取引委員会の勧告を受けると「企業名と違反事実がウェブサイト等で大々的に公表される」というペナルティです。「下請けをいじめるブラック企業」の烙印を押されれば、銀行も優良な取引先も一斉にクモの子を散らすように逃げていきます。
この致命傷を避ける超実務的な鉄則は以下の2点です。
①【発注前の「十分な協議」と「書面交付」の絶対化】:どうしても単価を下げたいなら、必ず「発注前」に双方が納得いくまで協議し、適正な価格を定めた書面(3条書面)を交付すること。メール一本での一方的な値下げ通告は違法です。
②【「発注後」の減額・返品の絶対禁止】:一度発注した金額は、外注先に100%の責任(明らかな不良品や納期遅れなど)がない限り、自社の都合(予算不足や売れ残り)で絶対に減額・返品してはいけません。
自社の利益を、立場の弱い他者の血(赤字)で贖(あがな)う企業に未来はありません。外注先との適法で対等なパートナーシップこそが、厳しい市場を生き抜く最強のインフラなのです。
「協力してくれ」はただの違法行為!下請法違反を回避する4つの絶対防衛ライン
| 経営者がやりがちなNG行動 | 下請法の冷酷なルール( | 回避策・適法ライン |
| ① 買いたたき(単価の不当な引き下げ) 「今期は予算がないから、前回と同じ仕事だけど単価は一律20%カットで頼むわ」 | 【通常の対価を著しく下回る額の強制】 十分な協議もなく、相場や過去の単価から著しく低い金額を一方的に押し付ける行為です。たとえ相手が「仕事が欲しくて渋々ハンコを押した」としても違法になります。 | 【発注前の「十分な協議」とコストの反映】 単価を下げるなら、必ず「発注前」に双方が納得いくまで協議してください。原材料費や人件費の高騰を無視した据え置きも「買いたたき」になり得ます。コスト上昇分を適正に価格に転嫁(協議)する記録を残すことが鉄則です。 |
| ② 下請代金の減額(発注後の値引き) 「商品に問題はなかったけど、ウチの利益が出なかったから、請求書から10万円引いて振り込んでおいて」 | 【下請けに責任がない「後出しの減額」】 発注時に決めた金額を、後から発注者の都合で1円でも減らすことは「絶対的」に違法です。振込手数料を勝手に引いて支払う行為(事前の合意がない場合)もこれに該当します。 | 【「発注時の金額」の100%支払い】 下請け側に明らかな契約違反(不良品、納期遅延など)があり、かつその損害額が客観的に算定できる場合を除き、減額は絶対に不可能です。「値引きのお願い」すら違法になるリスクがあるため、発注した以上は全額払うのが絶対ルールです。 |
| ③ 受領拒否・不当な返品 「注文通りに作ってくれたけど、客からキャンセルが入ったから、やっぱりいらない(返品する)」 | 【発注者の都合による「在庫の押し付け」】 下請けの責任ではないのに、納期通りに納品されたものを受け取らない、または後から返品する行為です。下請けに在庫リスクと赤字を丸投げする極めて悪質な違反です。 | 【「自社の発注ミス(見込み違い)」の全額負担】 自社の都合で不要になったとしても、必ず受け取り、全額支払わなければなりません。下請けに責任を負わせられるのは「事前の検収基準を満たしていない明らかな不良品」のみです。 |
| ④ 支払遅延(支払い期日の引き延ばし) 「今月は資金繰りが厳しいから、支払いを来月末まで待ってくれないか」 | 【「納品から60日以内」の絶対ルール】 下請法では、商品やサービスを受け取った日から「60日以内」のできるだけ短い期間内に支払期日を定め、その日までに支払う義務があります。これを1日でも過ぎれば違法です。 | 【「下請けへの支払い」の最優先化】 資金繰りが苦しい時、経営者は「立場の弱い外注先への支払い」を真っ先に遅らせようとします。しかし、これは公取委の調査が入りやすい最悪のトリガーです。外注費は「絶対に遅らせてはならない聖域」として資金繰り表を組んでください。 |


